ストレリチアの花も、くわしく観察すると、色は別として形だけでも、いろいろと違いがあることに気づきます。私のような育種家にとっては重要な部分だからなのです。それは肩というか、首と言うか、未だ正式名称がついていない部分です。ストレリチアはその違いが
2種類ありまして、
1,苞の首の部分が隠れて露出しない花
私のところには1株しか存在しませんから普段はなじみがありませんが、古い絵では、よく見かけますから、昔から少しは存在したのでしょう。私のところでは、余り、喜ばれていません。私が最初から露出組ばかりにに出合ってきたのは運が良かったに違いありません。もし、(1)に初めに出会って、それを標準としてしまっていたら、と思うとゾッとします。
2,苞の首が露出しています。
苞の赤紫色の表現の中心部分です。ここがあると無いとでは、苞の美しさが違ってしまう重要な点です。レギーネもジャンセアものから同様に現れます。
ジャンセアではユイテンハーグ系は隠れた花が多く、ブラック ヒル系は露出します。私のところでは交配親にブラック ヒル系が多いので露出が普通です。
*古い記録を引っ張り出してみると、地主のドウフリング氏にブラック ヒル<黒い丘>の名前のいわれを聞くと、
「この土地の一角に岩塩が露出しているところがあり、そこは土が黒っぽくなっているからです」
と答えてくれました。普段は羊や牛の放牧地としているようでした。でも、羊の姿を見たことがありません。ほんのわずかしか入れていないらしいのです。ゆったりしたもんです。
それにしても、ストレリチアで私のところへ見えるお客さんに、このことに関心を寄せた人がまだいないのに首を捻っています。

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