ここの所へ来て改めてジャンセアが大きく、ガッチリと育ってきたのに驚いています。
ジャンセアと付き合い始めてから30年以上にもなるのに、まだ、何もわかっていなかったのです。情けないこと、この上もありませんが、考えてみると、それだけ奥が深いのだと納得しています。
ジャンセアが生育に時間が掛かるのは分っていたことです。実生苗から一人前になるのにレギーネで5年、ジャンセアは10年と私は言ってきましたが、今となると、それどころではないのです。今年は今までになく株も育ち、花も多く咲いています。
育ちが遅いの、花立ちが悪いの、なんて、何、間違えていたの、といいたいほどなのです。
ジャンセアは私が考えていたよりは、よほど多くの年数を必要としていたらしいのです。
アフリカ大陸が乾燥化してきたために体を作り変えて対処したのがレギーネだったのですが、もっとひどい乾燥地で生きるために進化したのが、パービフォリア、次いでジャンセアだったのです。レギーネでさえ、普通の植物を遥かに越える耐乾性を身につけていますが、ジャンセアはそれどころではなかったのです。乾燥に耐えるには、ゆっくりと育たねばならなかったのでしょう。これが私の想像を超えていたらしいのです。ジャンセアはストレリチア最後に進化した種です。身につけた形質はあだおろそかなものではなかったでしょう。
私たちの周囲には忙しさに取り紛れ、時間に追われている人が少なくありません。そのような生活の中に「悠然と生きるストレリチア」と共に生きることは、どれだけの癒しになることでしょうか。
私はジャンセア以上に凄い植物も手がけています。7回目の最後のアフリカ訪問の際、持ち帰ったガステリアの一種「ピランシー」です。南アフリカ西海岸の難しい植物地帯の産ですから一筋縄ではゆきません。25年たった今でも、大して大きくは育ってはいないのです。それでも、毎年、6月になると花を見せてくれています。ところが、この種は弱いわけではありません。面倒見ようが見まいが、何ら影響ありません。驚くのは育ちの遅さです。私の望む大きさになるのは何十年かかるでしょうか。これに比べたらジャンセアなどは早いといってもよいほどです。
このようにジャンセアから教えられることは、まだまだありそうです。

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