ストレリチア栽培での失敗例は数多くありますが、その多くを占めるのは人工操作によって引き起こされたものです。化成肥料による過肥や換気不足による障害を始め、数多くの障害は、大抵、やらなくてもいいことをやったために起きています。
なぜ、そんなことをするのかといえば、早く大きく育てたいという欲望もあれば、反対に楽をしようと手を抜いてしまうこともあるでしょう。特にストレリチアの場合は、これが激しいようです。これはストレリチアは生育が遅く、人の望むスピードとは、ずれがあることです。つまり、ストレリチアの生理を無視したことをやってしまいがちなのです。その点では、却って放任栽培のほうが問題を起こさない利点があるほどです。
ストレリチアは望む条件が簡単には得られない厳しい環境の中で、困苦欠乏に耐えて生きてきた植物です。不足な条件が当たり前なのです。それを急激な操作で変えようとすると障害が起きてしまいます。そこのところを少しでも前進させようと、だまし、だまし、(表現がよくありませんが)誘導するのが人工栽培なのではないでしょうか。肥料についていえば、ストレリチアのヒゲ根は細く、小さくてデリケートですから、化成肥料の濃度を上げれば耐えられません。有機質肥料を推薦するのは、このためなのです。
貧しい暮らしを得意としてきた植物に、いきなり贅沢をさせていいことがあるはずがありません。ストレリチアの生理を理解してこそが栽培といえるでしょう。
「余分な事はしない」これがストレリチア栽培のコツの一つです。では、何もすることがないではないか、面白くない。と言う方も居ることでしょう。実は、やるべき重大事があるのですが、それは他の章に設ります。

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