ストレリチア秘話No.755 植物の生育条件の好みの判別は難しい

 以前の章にて、植物の中には自分の生まれ育った環境条件にこだわるのもあれば、ストレリチアのように違った環境にも適応出来る種があることを述べました。今回は、また一つ、極端な例を発見しました。果たしてストレリチアもこんなことを隠し持っているのかどうか、心配になったところです。

 それは、南アフリカの北に位置するボツワナー帯に生えている果樹マルーラのことです。

 私は以前から関心を持っていたのですが、なかなか、手がける機会に恵まれませんでした。

 疑問に思っていたのは、利用価値が高いにも拘わらず、人工栽培がされず、自然のまま放置されていることでした。これには何らかの栽培不適条件があるに違いない。それだったら挑戦してみたいと思っていたのです。

 2023年、種子が入手出来たので早速、播種してみたのです。幼苗は気難しいことはなく順調に育ってくれましたが、初冬に入ると問題が起きてきたのです。テスト栽培ですから、冬の寒さに耐えるために、20本の苗を場所を変えて置いてみたのです。やがて、冬の寒さがやってくると、露地や軒下に置かれた苗は次々に枯れ始めましたが、これは驚くことではありません。予想通りでしたから。何とも理解出来無いことはビニールハウス内でも起き始めたのです。

 カラハリ砂漠の冬は冷えますが、せいぜいマルーラぐらいなら耐えるだろうと入れてみたのです。ここでも、マルーラはやがて枯れ始めました。こうなると原因は低温の結果ではないこことが判明しました。では何が原因なのか?

 私の今までの経験は役に立ちません。そこで最後に得た結論は「苗は直射日光を望んでいたのでないか」でした。ビニール越しぐらいでは駄目でした。普通の植物は寒さ対策が優先なのにマルーラは日光第一だったらしいのです。早速、軒下で葉は枯れても茎が残っている苗を2本見つけて日当たりの良い位置へ移動しました。その後、春が過ぎ、現在は何とか生育進行中です。

 マルーラは半砂漠地帯の植物ですから一日中、強い日光を浴びています。それでも普通の植物の苗は、若い内は弱い光を好むのが大部分です。私は、この常識に捕らわれていたのです。陰の殆どない砂漠では、例え、苗でも強光線を受けるのが当たり前の植物もあることを知らなかったのです。東アジアの温帯、日本生まれの私には砂漠の植物に疎かったのも仕方ありません

 ストレリチアも強い日光を承けて生きる植物です。いくら適応の市が広いとはいえ、隠して、我慢している部分があるかも知れません。そこで、こんな特殊な植物の生態が気になったのです。

 

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