ストレリチアを地植えした場合、雨量が多すぎても、少しぐらいは我慢してくれます。でも短期的には、しのいでくれても、長く続けることは決していいことではありません。ストレリチアは500mmの雨量に合うように生活様式が構成されているのです。もし、それが踏み外されると対処できないことが起きてくる可能性があります。
この地上はストレリチアだけが生きているわけではありません。雨が多くて土が湿ってくると、その環境に適した生物が発生してくるのです。腐敗病の病原菌もその一つです。ストレリチアは水の多いのは我慢できても、この菌に対抗する手立てまでは持ち合わせていません。なぜなら、自生地では、そんなことが起こることは有り得ないからです。ところが移住先では、今まで思いもしなかったことも発生してきます。
腐敗病のフザリュウム菌は、普段はどこにも居るのですが、夏の雨が降り続くと、高温多湿で大発生し、ストレリチアの葉の気孔から植物体内に侵入し増殖してしまうのです。この細菌は市販の殺菌剤で除去出来るような柔な存在ではありません。進行が速く、気がついたときは、もう、手遅れなのです。となると、発生を止めるか、遅らせるしか方法はありません。これにはストレリチアの周囲の土は出来るだけ乾かしておかねばならないのです。
私がストレリチアの自生地にこだわるのは、あらゆる点で、お手本だからなのです。自生地の環境をなぞっていれば、こんな細菌など問題になりません。
ストレリチアの栽培とは、人工的な操作で手軽に済まそうとするのではなく、ストレリチアが望んでいることを叶えてやることなのです。やることは一見、素朴に見えても、実は奥深い配慮がなされているのを承知しておかなければならいでしょう。

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